挑 / Creative
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東三河総合庁舎のエントランスに足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、重厚な丸太が空中に浮かんでいるかのような不思議な光景です。木のぬくもりと最新技術が融合したその空間は、訪れる人々を圧倒する迫力を持っています。このプロジェクトを手がけた設計の嶋村さんに、その舞台裏を詳しくお聞きしました。
きっかけは、大西が県の方から「こういうプロポーザルがあるのですが、参加してみませんか?」と声をかけられて。

リサーチを進めていくうちに、東三河には独自の建築文化や林業の歴史があり、丸太の使われ方にも特徴があることがわかってきたんです。それなら、その文化や風景をモニュメントとして表現したいと思いました。
丸太を使おうと思ったのは、いっぽんもんという伝統を知ったことがきっかけでした。僕が見た記事の中では「6m以上の材をいっぽんもんと呼ぶ」とあって、6mっていうキーワードが出てきたんですけど、うちの五軸加工機が6.5mまで入るので、「これは丸太を一本丸ごと扱えるぞ!」と気づいたんです。そこから丸太そのものを主役にした提案ができないかと考え始めました。


はい。材木市場に行くと、丸太が積み重なって置かれているんですよ。切られた丸太が運ばれて置かれているんですけどその様子を表していて。あの光景がすごく印象的でした。素材自体のパワーを感じるというか、ダイナミックなので、今回の素材をアピールする表現として合ってるんじゃないかなと思って採用しました。

それはろくろ引きの技術を使って皮を落とし、丁寧に削っていただいたからです!もともと300角ぐらいの角材をろくろみたいに回転しながらちょっとずつ削っていって、綺麗な270Φにするという加工をしてもらいました。丸太のサイズを精度よく揃えたかったのと、皮が残っていると虫が湧いてきたりするので、デザインを実現するためには必要な加工でした。作業は愛知県内の業者さんにご協力いただきました。今回手伝ってくれた業者さん全てが県内の業者さんでできたので、それもプロセスとして良かったなと思います。
エントランスということで、お客さんを迎え入れるっていう部分で門型になっています。お客さんを歓迎するっていうのもあるし、モニュメント自体を触ったり見るのもそうなんですけど、素材自体の力みたいなものを体感してもらいたいと思いました。

丸太1本が約100kgあるので、実は相当重いです。でも、浮いているように見せることで木の力強さと美しさの両方を表現したかった。そこで、丸太を包み込むように見える網状の部材を使い、軽やかさを演出しています。見えない内部は、五軸加工で精密につくられています。構造は見せないけれど、見る人に「どうなってるんだろう?」と思ってもらえるようにしています。
東三河の木材を生かしたモニュメントづくりは、私たちにとって新しい挑戦の連続でした。未知の要素も多くありましたが、その分だけ木の可能性や地域の魅力を新しい形で発信できる手応えを強く感じました。一本の丸太から始まった試みが、地域の森や技術、人をつなぐ象徴へなっていくことを願っています。

――次章の「挑」では、設計から完成まで、モニュメント誕生の背景を嶋村さんとともに振り返ります。