コラム

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東三河県庁木質化(プロジェクトの概要)2/3

東三河総合庁舎のエントランスに足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、重厚な丸太が空中に浮かんでいるかのような不思議な光景です。木のぬくもりと最新技術が融合したその空間は、訪れる人々を圧倒する迫力を持っています。このプロジェクトを手がけた設計の嶋村さんに、その舞台裏を詳しくお聞きしました

【創】見えない技術が形をつくる五軸加工・3D設計・職人技の三位一体

――いっぽんもんの製作では、五軸加工や3D設計はどのような役割を担いましたか?

今回のプロジェクトは、五軸加工のこれまでにない使い方をした事例になりました。今までだと五軸加工で削った面が、お客さんに見せるデザインとして表面に出てくることが多かったんですが、今回は逆に見えない内部を加工するために使ったんです。

――内部の加工をですか?

はい。6本の丸太の内部を大きく肉抜きして、軽量化する必要がありました。ただ軽くするだけでなく、内部に金物を通して構造的に支える仕組みを作らなければならなかった。その金物の形がシビアで、取り付け精度が少しでもズレると収まらないんです。

――構造を見せないために、技術はむしろ高度になっているんですね。

そうなんです。最終的に見えるのは丸太の外側だけですが、その裏側では五軸加工が大活躍しています。デザインを成立させるための裏方の3D加工ですね。

――3Dデータの活用についても教えてください。

モニュメント提案時には、3Dパースを使って視覚的にイメージを伝えました。そのデータをそのまま五軸加工用に活用できたので、提案から製作まで一気通貫で進められたのは大きな利点でした。さらに、構造や金物の設計も3Dで検証しながら進めたのでイメージのズレも少なかったです。

――職人仕事はどのように活躍しましたか?

特に網の部分など、完成後に「もう少し見え方を良くしたい」という箇所が出てきて、そこは職人さんに無理を言って、手加工で微調整をお願いしました。実物を目の前にして、現場で判断しながら良い方に仕上げていく。これはデジタルではできない部分でしたね(笑)

――設計段階で一番大変だった点はどこでしたか?

6mの丸太6本をどう支え、どう組み立てるか。これに尽きます。構造的に成立させなければならないし、現場で施工できなければ机上の空論になるし、その両方を満たす必要がありました。

――製作中で印象的だった出来事はありますか?

東三河の田口高校の林業科から「余っている木材を使ってもらえませんか」という話が県に来て、それをモニュメントに使うことになったんです。学生たちが伐採した木がこのモニュメントの一部になっているというプロセスがこのモニュメントのコンセプト「東三河の人・森・技術を繋ぐ木のゲート」に説得力を持たせたと思います。

東三河の木材を生かしたモニュメントづくりは、私たちにとって新しい挑戦の連続でした。未知の要素も多くありましたが、その分だけ木の可能性や地域の魅力を新しい形で発信できる手応えを強く感じました。一本の丸太から始まった試みが、地域の森や技術、人をつなぐ象徴へなっていくのを感じました。

――次章の「継」では、いっぽんもんを嶋村さんとともに振り返ります。

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