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第2名古屋三交ビル 1階エントランスMUQUA オリジナルベンチ(プロジェクトの概要)2/4

名古屋駅から徒歩5分ほどのところにある、第2名古屋三交ビル。ここは普通のオフィスビルではありません。エントランスに入ると、木材で作られた美しい木材の曲線が広がり、モニュメントのようなベンチが目を引く木材に包まれた空間に圧倒されます。

そんな空間を手がけた営業の大西さんと設計の嶋村さんにお話を聞きしました。

【創】3D技術の活用、そして現場へ

─実施設計の段階では、どのように3Dを活用されたのでしょうか?

嶋村:グラスホッパーを使ってコードを組んだことで、設計フローが一気に効率的になりました。ただ形を変えられるだけでなく、制作に必要なデータまで瞬時に生成できるんです。たとえば木材を互い違いに配置する際、左からナンバリングを振っておけば、元のモデルを差し替えるだけで番号も自動で更新され、パーツの輪郭まで出力される。さらに必要材料の量も一瞬で算出できるので、設計士さんとのやり取りも社内での製造準備も、とてもスムーズに進みました。

大西:以前なら1つ直すのに膨大な手間がかかったことも、一瞬で解決できるようになった。これが大きな変化でしたね。

─効率化が進む一方で、地道な作業も必要だったとか。

嶋村:そうなんです。木目方向の最適化や、歩留まりの微調整は結局ひとつひとつ手で操作して確認していきました。メンバーにも協力してもらいながら地道に調整した部分も多いです。ただ、その積み重ねが「木づかい」に直結して、結果としてより良い仕上がりにつながったと思います。

──2つのベンチは作り方にはどういう違いがあるんですか。

嶋村:ルーバーみたいに板を並べているのは両方のベンチで同じなんですが、エントランス中央のベンチは板同士がぴったりくっついているので、ビスで接合できます。

一方、壁側のベンチは板の間に隙間をあけていて、このままだと人が座ったときに板がグラついてしまうんですね。そこで、板と板の間に専用の補強パーツを入れて、しっかり固定できるようにしています。

このパーツは全部3D加工で作ってあって、それと目立たないように黒で塗装してあります。
見えない部分にもちゃんと手をかけて、細かく作り込んでいます。

あと、壁側のベンチは板の上を斜めにカットしてあって、より滑らかな印象に仕上げています。

──木材の使い方にも工夫があったそうですね。

嶋村:特に意識したのは木表と木裏の操作です。通常は反りを防ぐために交互に組み合わせるのですが、今回は材料が厚かったので、思い切って片面をすべて木表、反対面をすべて木裏で統一しました。木裏は赤みが強く、木表はより柔らかい印象になる。結果として、見る面によってベンチの表情がガラッと変わるんです。これは想定通りでもあり、同時に「ここまで印象が変わるのか」と驚きもありました。

──製作後はいよいよ現場での設置作業ですね。

大西:ここがまた新しい挑戦でした。僕たちは家具の製作は得意でも、現場での取り付けを本格的にやる機会は少なかったんです。でもこの仕事では「設置までが必須条件」。どうやったら効率的で安全に、しかも美しく納められるか、3D設計とは違う現場ならではの工夫と挑戦が必要でした。実際に施工チームと連携しながら、一つひとつ確認し、無事に納められたときは大きな達成感がありましたね。

──デジタルの効率化と現場での実践。これらが融合したプロジェクトですね。

大西:そうですね。3Dの力がついたのと、現場での設置することへの自信もつきました。「削り出して組む」方式ではなく、ルーバーを分割して施工したり、搬入経路を考慮したりと、新しい3Dの活用法に挑戦できました。わの休憩所北こぶしサウナとはまた違う可能性を探るきっかけになったと思います。 設計段階でグラスホッパーを活用し、形の調整や部材配置の計算を効率的に行う工夫を聞くと、デジタルツールを駆使したものづくりの新しい可能性を感じます。こうした取り組みがあったからこそ、現場でのスムーズなやり取りや、精度の高い製品づくりにつながったのだと伝わってきました。3D技術は奥が深い!

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