コラム

継 / After story

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第2名古屋三交ビル 1階エントランスMUQUA オリジナルベンチ(プロジェクトの概要)4/4

名古屋駅から徒歩5分ほどのところにある、第2名古屋三交ビル。ここは普通のオフィスビルではありません。エントランスに入ると、木材で作られた美しい木材の曲線が広がり、モニュメントのようなベンチが目を引く木材に包まれた空間に圧倒されます。

そんな空間を手がけた営業の大西さんと設計の嶋村さんにお話を聞きしました。

【継02】都市空間への新たなアプローチ

── 今まで内装空間を中心に仕事をされてきたと思いますが、今回のオフィスビルの

ように都市に近い空間での取り組みについては、どのような意味があると思いますか?

大西:僕らはこれまで家具を作ってきましたが、影響は使う人に限られることが多かったんです。お店やカフェの家具もそうでした。でも今回はビルの共用部という新しい挑戦で、距離的にも気軽に見に行けるのが嬉しかったです。完成後、当時2歳の息子を連れて行ったときも、普段は抱っこばかりなのに、走り回ったりベンチに登ったり、空間をのびのび楽しんでいたのが印象的でした。子供にはわかるんだなーと親としてもPJT担当としても嬉しかったです。

嶋村:そうですね。この規模で、公共空間で誰でも使えるものを手掛けるのは初めてでした。完成後に現場を見に行くと、サラリーマンの皆さんが座っていたり、カップルが並んでいたり。その光景を見られるだけでも新鮮で嬉しかったです。やっぱり、自分が関わったものを実際に人が使っているのを見るのは大きなやりがいですね。

── このプロジェクトを通して、製作や設計でのアプローチに変化はありましたか?

大西:2年半にわたるプロジェクトをやり遂げたこと自体が大きな経験でした。このプロジェクトを任せてもらえたことで自信がつき、設計手法や現場への納め方でも一歩進めた感覚があります。スーパーゼネコンという大手さんとの直接の仕事も初めてで、設計の伊藤さんの尽力で実現できたことが嬉しかったです。この事例が話題になり、他の設計の方々がアーティストリーに訪れるようになったのも大きな広がりでした。

嶋村:僕にとっても転機でしたね。普段は短納期で家具規模の仕事が多かったんですが、今回は初めてグラスホッパーを本格的に組んで長期で設計しました。この事例のおかげで「こういう設計ができます」とアピールできるようになったし、今は3Dサポートの依頼も増えていて、広報面でも役立っています。

── 進める上で不安はありませんでしたか?

大西:正直、不安は常にありました。一年半も設計や見積もりを重ねて、「最後にやっぱりやめます」と言われたらどうしよう、とか。始まれば始まったで、スーパーゼネコンとの初仕事で事故やクレームが出ないか、ずっとドキドキでした。でも、アーティストリーのメンバーは本当に頼もしくて、無事にやり切ってオープンし、評価をいただけたことで「いい会社だな」と改めて実感しました。

嶋村:僕も現場に10人規模で人を入れたのは初めてで、若手からベテランまで一緒に取り付けをやり切ったことが大きな経験でした。現場での自信につながったし、そこから実際に現場に行くことも増えています。

大西:さらに竹中工務店の同世代の設計者とのつながりも生まれ、「丸太スツールを開発しよう」といった新しい展開が広がっていきました。内装だけに限らず、ゼネコンに対しても価値を提供できるという自信になり、他社とのつながりも強まりました。

嶋村:今では大手ゼネコンや有名建築家と直接やり取りする案件も増えました。友人に「この会社とやってるんだよ」と話せる仕事が増えたのも、普通の木工屋ではなかなかない経験で、誇りに思っています。

大西:嶋村君、当時2年目でこれをやって、どうだった?

嶋村:やったことのないことをやるのが好きなので、不安というよりワクワクでしたね!できるかできないかより、楽しみだなという感覚で取り組んでいました。

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今話を伺って、家具職人としての技術や経験が、都市の公共空間にもこんなに活かされるんだと驚きました。完成した空間で、人々が思い思いに使っている様子や、若手社員の挑戦の話も聞けて、現場での工夫やチームの力の大きさを改めて感じました。初めての規模、初めての現場、そしてスーパーゼネコンとの直接のやり取りまで、さまざまな挑戦を乗り越えた経験が、今後の制作や設計に確実に活きていくんだなと感じられるお話でした。

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