制作実績
1200年の歴史がある和歌山県・那智勝浦町の大泰寺より依頼を受け、もともと蘭花の栽培小屋だった場所を地元工務店と共に改装。日本のお寺サウナでも前例の少ない、テントサウナではない常設型の本格フィンランド薪サウナを設計監修しました。
お寺にサウナがある意味(西山住職コメント)
大泰寺は蘇りの地と言われる熊野にある七薬師の第一古道場と言われています。古来より人々の病を癒してきました。しかし、近年では参拝者が減り、その役割を十分に果たせておりません。大泰寺は、もともと天台宗として開創されましたが、江戸時代に臨済宗に改宗しており坐禅のお寺としても知られています。
私は、坐禅にも人の心を癒す力があると思っています。お薬師さんと坐禅。この良さを多くの人に知ってもらいたいと、宿坊を開業したり、境内にキャンプ場を開いたり様々なことに挑戦してきました。そこで出会ったのがサウナです。サウナを友人に進められて体験した際に、本当に心地よく、不思議な気持ちになりました。これがいわゆる「整い」であったと知ったのは後の事ですが、こうした心持は坐禅で得られる安心(あんじん)の心と似ていると感じました。
サウナを通じて、気軽に大泰寺を訪れて頂き、坐禅を通じてディープな禅の世界に触れて頂ければ幸いです。そして、その体験が皆様の人生に気づきや潤い、癒しを与えてくれることを願っています。
本場フィンランドから学んだサウナ設計
「呼吸がしやすく、気持ちよくて、会話が弾む」フィンランドのサウナは、深部体温をしっかり上げることができ、人同士のコミュニケーションを活発化させることを目的として作られています。しかし、日本ではその本質的なフィンランド式を体験できるサウナは多くありません。
伝統的なフィンランドサウナの精神と設計手法「ロウリュウの法則」を取り入れ、仲間と気持ちよく入れるサウナ施設を実現しました。
地元の木材を活かしたココならではのデザイン
都会のサウナは「おしゃれに」「綺麗に」「普段から使っている素材を」がモットーですが、同じものを大泰寺さんにあてはめても意味がないと考えました。空間は禅を広めた達磨大師が修行された洞窟をモチーフに、森林資源が豊富な地域の特性を活かし、都会の施設では見ることができないような個性豊かな木材を各所に地域の木材を採用しました。
・達磨大師の修行する姿をオマージュした栃材のアートワーク
・製材所で出るかまぼこ型のバタ材を利用した正面壁
・空気の流れをコントロールする杉の天井板
・座面は50年以上乾燥された杉の一枚板 など
サウナ後は禅を感じるととのい体験
天然井戸水の水風呂のあとは、本堂横のスペースで都会の喧騒を忘れながら外気浴を楽しめます。セットを繰り返す中で、タブレットで禅問答を自身で行ったり、外気浴スペースで枯山水を作ることもできます。
心のモヤモヤを晴らすために、自身と向き合うのもサウナの魅力の一つですが、そこに禅体験を合わせた特別なものとなります。
現地でしか味わえないお寺サウナで特別な禅リトリート体験を!
日帰りと宿坊での宿泊利用の2種類のプランで利用することができます。宿泊の場合、早朝の坐禅体験を行った後にサウナも入る事も可能です。
◆施設情報&ご利用案内
①日帰りサウナプラン 11:00~14:00
②宿泊者利用プラン 17:00~
予約サイト:https://oterastay.com/daitaiji/
・貸切サウナ
・男女水着で利用可能
・ハンドタオル、バスタオル付き
・各種レンタルあり
デザイナー 大西 功起
西山住職の訪れる方々の心身を癒す「禅×サウナ」への熱い想いを受け、大泰寺さんでしか味わえない唯一無二の体験価値を考えました。その中でやはりサウナは本場フィンランドの精神を意識し、模倣ではなく、この場所のオリジナルに昇華することを意識し、デザインをさせていただきました。大泰寺さんは熊野古道を訪れるインバウンドの方々に大人気のお寺ですが、このサウナを機に、是非、日本のサウナ愛好家の皆様に足を運んでいただき、特別な体験をしていただきたいと思います。
宗教法人 大泰寺 コメント
住職 西山 十海 氏
今回、たまたま大西さんが神戸で作られた円相サウナを知り、そのコンセプトに共感をし、ご連絡をさせていただき、理想のサウナを作って頂きました。大西さんのデザインは最初、私の意表をつくものでした。まさか達磨さんが悟りを開いた洞窟をサウナのモチーフにして表現されるとは思いませんでした。「潤うサウナ」。サウナによっては、高温で肌がヒリヒリとしますが、心地よい空気のせいか、長い時間入っていても、そうしたヒリつきはありません。じんわりと汗が吹き出し、水分が抜けるというよりも、潤う心地がしました。本当に素晴らしいサウナを作って頂いて、ありがとうございました。