制作実績
総合建設会社である淺沼組の築30年になる名古屋支店がGOOD CYCLE BUILIDINGとしてリノベーションされた。
GOOD CYCLE BUILIDING自体が「自然循環:ReQuality」をコンセプトに空間及びプロジェクト全体が設計されていることから、マテリアルデザインにおいてもこのコンセプトに従い、従来の建設現場では廃棄物となる素材を救い上げ、アップサイクルする試みを実践した。
アーティストリーは、STUDIO YUMAKANOのオリジナルマテリアルでもある「ForestBank™」を用いたオフィステーブルの製作に、盟友でもある「飛騨の森でクマは踊る」からの依頼を受け、CNCによる技術提供を行った。
目を惹く豊かな模様はまさに森の記憶。飛騨の森林素材+奈良の吉野杉+建設現場廃棄健在+家具工房端材をミックスさせ、このプロジェクトのためだけのオリジナルテーブルトップをデザインした。
森の記憶を閉じ込めた天板材を、CNCにより表層を数ミリ単位で削る。デザイナーが一番目指したい森の表情を、アーティストリーの5軸オペレーターと共に、1枚1枚追いかけた。全8種類を加工。全てがまさにオンリーワンとなるテーブルデザインとなる。
森のクリエイティブディレクター 門井 慈子
木の枝や葉っぱ、様々な広葉樹の短材など硬さや樹種、乾燥状態など、異なるばかりのものの集合体ですが、大西さんのやってみましょう精神で引き受けていただけました。
「ここをあと2mm掘ったらきっと二股が見えてくるんじゃないか!あぁでもその2mmの削りでこっちのマツボックリがなくなっちゃうかも!」と僅かな削りでコロコロと表情を変えるForestBankを観察しながら理想の 表情。
NC を使うことで加工機械の危険性がなく、安心して丁寧に探ることができました。
「もう少し角Rを深くしたものも見たい、、、」などその時々の変更もその場で柔軟に対応いただけ、工場でどんどん魅力的に天板が育っていった様に思います。
思い出すと新しい形に切削して見たくなりますね、、またお邪魔します!
デザイナー コメント
Design Director/Designer/Material Designer 狩野 佑真
新たに開発したForestBankストリーさんは快く加工を受け入れてくれました。
表面を数ミリ切削するだけで素材の表情が変わってしまうため、良くも悪くも加工現場に張り付きながら、あと何ミリ削るかを見極める必要があります。
また時には刃物によって枝が飛んでしまうため、その都度工作機械を止め、枝を探して修正しました。恐ろしく手間が掛かる素材ですが、仕上がったその素材は本来の木材とは違った魅力的な表情が現れます。
このようなある意味で非効率な加工に丁寧にお付き合いいただけたからこそ、このプロジェクトは完成しました。
デザイナー側の無理難題な要望や意図を読み解いて、素早く対応してくれる加工スペシャリストは世の中そう多くいません。
アーティストリーさんとは今後とも長いお付き合いが続きそうです!